審査に申請をする方へAccreditation procedure/examination flow

「作品認定制度申請&運用マニュアル」をこちらからダウンロードできます。

はじめに

 映適が運用する作品認定制度は2025年4月から3年目を迎えます。この間、多くの日本映画に作品認定制度を利用いただき、制作現場の適正化へ向けてさまざまな取り組みが行われてきました。
 本マニュアルは2年間の運用実績をふまえ、申請方法の一部を見直し審査のプロセスを公開することで、映適取引ガイドラインをより多くの制作現場に広めていくことを目指して作成されました。今後も運用のスピードを緩めることなく、作品認定制度を利用するみなさんにフィードバックいただきながら改善に努めていきたいと考えています。

 

1. 作品認定制度の概要

 映適(日本映画制作適正化機構)は、映画制作現場の環境改善とスタッフの生活と権利の保護、地位向上を目的として、適正な映画制作現場を認定する「作品認定制度」を運用しています。本認定制度は、映適取引ガイドライン(映画制作の持続的な発展に向けた取引ガイドライン)に則って映画制作が行われたかを審査し、認定を行います。
 映適取引ガイドラインは「日本映画制作適正化認定制度に関する協約」に参加した映連(日本映画製作者連盟)、日映協(日本映画製作者協会)、映職連(日本映画監督協会ほか8職能団体)が定めたものです。

2. 対象

 「日本映画制作適正化認定制度に関する協約」に参加した映連、日映協が関与(製作、制作、配給)する実写映画は、すべて申請対象となります。協約の趣旨に賛同するすべての実写映画作品も作品認定制度を利用することができます。
 ドキュメンタリー、極めて芸術性の高い実験的な作品及び専ら教育を目的として制作される作品は除くこととしていますが、詳細は事務局までご相談ください。

 

3. 申請者

 申請は、映画製作者(製作員会幹事社等)と制作会社(制作プロダクション)の連名で行ってください。申請代表者には決裁権限を持つ役職者を設定してください。申請担当者は、審査終了後も提出書類の保管・管理・問合せに対応できる方でお願いします。

 

4. 申請区分・審査料金

 総製作費によって、3区分に分かれています。「A区分」1億円を超える作品/「B区分」5000万超 1億円以下の作品/「C区分」5000万円以下の作品の3区分です。製作費はいずれも税抜きで、宣伝費は含みません。
 審査料は「A区分」25万円、「B区分」20万円、「C区分」10万円となっています。税抜きの金額です。事前申請を行っていただき、必要書類の確認などが゙完了した時点で、事務局より事前申請受理通知書と請求書を送付します。請求書に記載された金額を、指定の銀行口座に振り込んでください。銀行振り込み明細書をもって領収書の発行に代えさせていただきます。なお、入金が確認できない場合には認定を行いません。

 

5. 申請の流れ

 作品認定制度の審査は、映適取引ガイドラインに則った制作が行われているかを確認しますので゙、制作の進捗に合わせて3回に分けて申請していただきます。「事前申請」は、撮影が始まる7日前までに行ってください。事後申請は、撮影終了後の「事後申請①」と、ポスプロ終了後の「事後申請②」に分かれています。「事後申請①」は、クランクアップ後1か月以内に行ってください。


 

【事前申請】
  1. 映適ホームページの「審査のお申込み」フォームに記入し送信してください。申請書記入用のURLを自動返信メールにてお知らせします。URLお知らせの際に映適取引ガイドライン抜粋資料(※台本入れ込み推奨)および作品認定制度申請&運用マニュアル(本資料)を併せてお送りします。
  2. 事前申請書に記入し、必要書類を添付して送信してください。


◆総合スケジュール表は、編集可能なファイル(Excel、Numbersなど)とPDFの両方を提出してください。
◆スタッフリストは、担当パート名(撮影助手、制作部など)と氏名を記載したものを提出してください。

 

【事後申請①】
  1. 申請書に記載された審査項目に、自己評価を記入し、必要書類を添付して送信してください。
  2. 評価は、プルダウンメニューにある「◯△×」「ABCDE」から選択してください。
  3. 「評価コメント」欄に、評価の理由を記載してください。達成度が低くなった場合は、具体的に理由を記載してください。「◯」と「A」以外の場合は、記入を必須とします。
  4. 事後審査①終了後、映適取引ガイドラインに則って制作が行われたと認定できる場合は、映適マークの仮発番を行います。

◆撮影日報は、編集可能なファイル(Excel、Numbersなど)とPDFの両方を提出してください。
◆撮影日報の形式でなくても、日々スケジュールに実際の撮影実施時間を手書き等で書き加えたものも可とします。指定のGoogleフォームに撮影記録を入力し、撮影日報の提出の代わりとすることも可能です。詳細は事務局までお問い合わせください。
◆ポスプロ作業予定表の提出は必須です。予定表に沿ってポスプロ作業が行われることを前提に仮発番を行いますので、大幅に予定が変更となる場合は、変更された予定表を都度提出してください。

 

【事後申請②】
  1. 申請書に記載された審査項目について、ポスプロ期間を対象に自己評価を記入、必要書類を添付し、送信してください。
  2. 申請は、ポスプロ作業終了後(ダビング終了時など)に提出してください。申請書と提出書類を確認・審査後、認定の可否をお知らせします。
  3. 審査結果に異議がある場合は、審査規程に従って不服申し立てを行うことができます。事務局までご連絡ください。

◆ポスプロ作業記録は、編集可能なファイル(Excel、Numbersなど)とPDFの両方を提出してください。

 

6. 審査から認定まで

審査は下記の3段階で行います。

(1)事前審査
  • 申請書と提出書類が揃っているかを確認します。
  • 総合スケジュールが、映適取引ガイドラインが定める「映画制作現場のルール」に則って作成されているかを確認します。
  • スタッフ編成が、提出された脚本・スケジュールに合わせた合理的な編成になっているかを確認します。
  • 撮影時間、インターバル、休日の設定などが映適取引ガイドラインから外れている場合は、申請者に注意を行った上で受理通知を発行します。

 

(2)事後審査①
  • 申請書と撮影日報を確認し、各審査項目の達成率と遵守状況に問題がない場合は、仮発番を行います。
  • 映適取引ガイドラインを逸脱した項目がある場合は、申請者にヒアリングを実施し、下記のいずれかを決議します。
    (a) 「注意」事項を文書で通知し、仮発番
    (b) 「改善確約書」の提出を求め、再審査の上、仮発番
    (c) 「認定不可」を通知

 

(2)事後審査②
  • 申請書とポスプロ作業記録を確認し、各審査項目が認定基準を満たす場合は、認定証を発行します。
  • 認定基準を満たさない場合は、下記のいずれかを決議します。
    (a) 「注意」事項を文書で通知し、認定
    (b) 「改善確約書」の提出を求め、再審査の上、認定
    (c) 「認定不可」を通知

 

【改善確約書について】

 
【審査結果の公表について】

 
【不服の申し立てと再審査について】

 

7. 審査・認定基準

 本認定制度では、提出された書類に基づいて、映適取引ガイドラインに則って制作が行われたどうかを個別具体的に審査します。審査は、以下の審査項目①〜⑨の評価をもとに、必要に応じて面談や追加書類の提出を求め、総合的に判断します。

【映画製作者(製作委員会等)と制作会社間の取引】
  1. ①映画製作者(製作委員会等)と制作会社間における役割分担、予算の取り決めが同製作契約書または制作委託契約書に明記されていたか。(※1)
  2. ②脚本内容および撮影プランに基づき算出された各予算項目を積み上げ方式で予算が作成され、間接費等が明記されていたか。(※2)
    協議の上、両者合意で決定された予算であったか。above、below 等の分担、緊急事態の取り決めが明記されていたか。
    当初予算を超過した場合、制作会社の責めに帰さない場合は映画製作者が負担することが契約書に定められていたか。
    損害を補てんする保険等に加入したか。

 

【制作会社とフリーランス間の取引】

  1. ③契約期間開始前に契約書または発注書の交付が行われたか。契約期間、業務内容、金額、支払日・支払い方法、傷害保険の加入の有無、契約期間が延長される場合の規定が記されていたか。

 

【制作現場のルール】

    1. 1日の撮影時間(段取り開始から撮影終了まで)は、11時間以内が厳守されていたか。(※3)
    2. 1日の撮影時間が11時間を超えた場合、終了時間から翌日の開始時間(段取り開始)までの間に実質12時間以上のインターバルもしくは休日が確保されていたか。(※4)
    3. プリプロダクションおよびポストプロダクションにおける作業時間が1日あたり13時間(仕込み、休憩・食事等を含む)以内となっていたか。また1日あたりの作業時間が13時間を超えた場合、10時間以上のインターバルもしくは休日が確保されていたか。(※5)
  1. ⑤1週間に1日以上の撮休日および2週間に1日の完全休養日が設定・取得されていたか。(※6)
  2. ⑥1日の撮影時間が6時間以上にわたる場合、30分以上の休憩・食事が1回以上、確保されていたか。 (※7)
    1. 上記④⑤⑥の項目を達成するための総合スケジュール表がクランクイン前に作成され、クランクアップ後に制作会社とメインスタッフの署名確認済みの日報が作成されたか。
    2. 映画製作者と制作会社、スタッフ間の十分なコミュニケーションが図られ、各部の作業が適切に管理されていたか。
  3. ⑧映画製作者による安全管理に関する体制が構築され、映適が定める「映画制作現場における安全管理ガイドライン」に準拠した体制が整えられていたか。(※8)
  4. ⑨映画製作者によるハラスメントに関する相談体制が構築され、撮影前のハラスメント講習の実施もしくは講習を受講したスタッフが配置されていたか。映適が定める「映画制作現場におけるハラスメント防止ガイドライン」に準拠した体制が整えられていたか。(※9)

 

※1 ※2 映適取引ガイドライン逸脱の要因が「映画製作者と制作会社間の取引」にあると映適が判断した場合、申請内容に疑義が生じた場合、不服申し立てによる再審査が行われる場合は、契約書や予算表の提出を求めることがあります。

※3 撮影時間の達成率は「11時間以内の撮影日/撮影実数」で計算します。達成率が低く、11時間超の撮影日が複数回連続する場合は、認定不可となります。

※4 インターバルの達成率は「11時間超過の撮影日かつ12時間以上インターバル確保日/11時間超過の撮影日」で計算します。

※5 各パート毎の個別作業については、撮影期間と同様、制作会社と技師が協力して記録・管理することとします。

※6 総合スケジュール表に撮休日と完全休養日を記載・設定することは必須とし、完全休養日に作業を行うスタッフが発生した場合は、作業記録を作成し、日報に記載するとともに1週間以内に代休を取得させるなどの措置を取ることとします。

※7 休憩・食事時間は1日の撮影上限時間のなかに含まれます。段取り開始後の中空きや現場間の移動についても時間の長さを問わず、同様に含むものとし、これらを含めて1日11時間以内に収まっているか、を判断します。

※8 撮影中に起きた事故、病人の発生等は日報での報告を必須とします。

※9 現場で起きたハラスメント事案の発生は、映適事務局への報告を必須とします。なお、映適より送付されるハラスメント防止相談窓口カードをすべてのスタッフに配布してください。